終末期・緩和ケアを専門とする作業療法士のブログ~死について、もっと前へ…~

終末期・緩和ケア分野で働いている作業療法士の藤田と申します。日々の臨床で感じること、思ったこと今までの経験などを書き記していきたいと思います。終末期リハビリはまだまだ始まったばかりの分野です、意見交換できれば幸いです。

ホームページができました。

こんにちは、終末期作業療法士の藤田です。

以前記事にした自費でのターミナルサポートケア

 

ホームページができました↓

http://suisenka.com/terminal.html

 

自宅でのリハビリは訪問リハが既にあります。

わざわざ高い料金を払って自費で行おうとする方も少ないかもしれません。

もしそうなのであればそれは私としてもうれしいことです。

 

私が一番重要だと考えている事は「リハビリをやりたくても医療側の都合できない」人がいるのではないかと言うところです。

 

「訪問リハは週1回と決められてしまった。もっとできないのか?私の病状が重いから少ないの?」

 

実際に患者様が話された言葉です。

 

我々リハビリは「その方一人一人へ色々な可能性を提示できる職業」でありたいと思っています。

医療者や家族ではなく、ご本人が主体となりそれを皆でサポートするその中にリハビリはどうやって入っていけるのか、その可能性を探っていきたいと思います。

 

自費リハビリに興味がある方、最期まで自分らしさを保ちながら生活されたい方がもしいらっしゃれば、是非ご連絡ください。

 

HPはコチラ

http://suisenka.com/terminal.html

最期まで父親としての姿を見せる

こんにちは、終末期作業療法士の藤田です。

 
 
終末期リハ、そして私の行っている自費リハビリテーション事業「ターミナルサポートケア」でできること。
 
 

2,息子に最後の父親としての姿を見せる

 
末期癌のBさんは体を動かすこともままならず、動くことでの痛みや強い疲労感もありました。
 
せめてトイレには行けないか?とリハビリの依頼が来ました。
 
Bさんは言いました「家族に迷惑をかけてしまうことが辛い」
 
そして
 
「家族に動けなくなったことを見られるのが辛い」
 
所謂高度成長期にバリバリ働き、日本を支えたBさん
 
威厳のある父親を理想としていたBさんにとって、他人の力を借りること弱さを見せることは耐え難い苦痛でした。
 
「できるだけ自分の力でできる様にしてみましょう」
 
ポータブルトイレを設置し、移る練習をリハビリで行い、何とか看護師さんやご家族の介助でトイレにいけることができました。
 
「できれば自分でやりたいけど」とBさんは話されており、必ずしも全ての願いがかなったわけではありませんでしたが
 
リハビリに私が伺うとにこやかな顔で出迎えていただきました。
 
リハビリの方はその後マッサージと移る練習を交互に行い、休む時間を取りながら行いました。
 
病状は進みます
 
トイレに移ることも厳しくなり、立つこともままならなくなったBさん
ある日お部屋に伺うとそこに息子さんとその婚約者の方がいらっしゃいました、
 
「Bさん、今日のリハビリどうします?」
 
「先生は大変かもしれませんが、立ちたいです、手伝ってください」
 
 
ベッドから降り、立つ練習を希望されました。
実際に立った様子は私が体重を9割は支えたと思います。
 
時間は1〜2分くらいでしょうか。
 
座った後、Bさんは息子さんと婚約者さんに向かって、「幸せになるんだよ」と優しい言葉をかけられていました。
 
 
その2日後、Bさんは逝去されました。
 
何を思って立つ練習を希望されたのかは、Bさんしかわかりません。
もしかすると「父親としての威厳」を取り戻すことができたのかもしれません。
 
終末期リハ・ターミナルサポートケアでは病気を治すことはできません。
 
しかし「自分の理想の父親像を」を取り戻すお手伝いする事もできるかもしれません。
 
ご興味のある方は是非ご連絡ください
 
 
最期まで、自分で選択できる人生を
 
藤田
 

 終末期リハビリテーション講習会情報はこちら

kanwakea-fujita.hatenablog.com

 

 

ターミナルサポートケアでできること。

こんにちは、終末期作業療法士の藤田です。

前回の記事で意志表明しました
自費リハビリの名称は(とりあえず)

『ターミナルサポートケア』という名称にしました。

これからしばらく当ブログでは、私の経験談をもとに
終末期リハビリテーション、ターミナルサポートケアでどんなことができるのか、できたのかをお伝えしたいと思います。

どちらかというと受ける側…患者様向けの記事になると思います。


ターミナルサポートケアで出来ること。

1.歩いて新幹線を見に行きたい

末期癌のAさんは病棟のベッドで特に何をするでもなく寝ている時間ばかりを過ごしていました。

もともと旅行が大好きで、毎年電車に乗り東北へ、もうそれができない事もご自身でわかっていました。

そんなAさんに歩く練習を目的にリハビリが処方されます。

目的を見出せない中でのスタート、当然「もうすぐ死んじゃうんだし、なんもやんなくていいよ」と。

マッサージをしながら話をしていくうちに「今度東北に新しい電車が走るんだよね」と話されました。

東北新幹線開通直後の話です。


「では、新幹線見に行きましょうか、はじめは車椅子から。」

車椅子に乗って病院の屋上へ、目的の東北新幹線は見えませんでしたが「久々に電車を見れた」と笑顔でした。

数日後、Aさんは言いました「歩いて見に行きたい」

新幹線を見に行くリハビリがスタートしました。

歩くことには相当のエネルギーを使います。寝ていた方が、車椅子に乗っていた方がよっぽど楽ではあります。

それでもAさんは自身の命を燃やしながら、新幹線の見える場所へ。

当時まだ本数が少なかったせいか、なかなか見ることはできませんでしたが

Aさんは時刻表を調べ、目撃証言を集めるなどして、苦労の末(リハビリの時間調整も大変でした…)東北新幹線も見ることができました。

Aさんは泣いていました。

病状は進みます。

「次は写真を撮るんだ」とカメラを購入した頃には歩くことはできませんでした。

Aさんは私にカメラを手渡し「代わりに写真撮ってくれよ」と話されました。

私が撮った写真はお世辞にも上手くはなく、「何やってんだよ〜」と笑われました。

そのやり取りの翌週、Aさんは亡くなられました。

最後に交わした言葉は「なんかちょっと調子悪いんだよね、『また明日』」でした。

亡くなられた日、いつもの場所に向かうと、ちょうどそのタイミングで東北新幹線が走っていくのが見えました。

もしかすると早速東北旅行に行ったのかもしれませんね。

ターミナルサポートケアでは病気を治すことはできません。

しかし「寝てばかりじゃなくて、起きて新幹線を見に行きたい」をお手伝いする事もできるかもしれません。

ご興味のある方は是非ご連絡ください

藤田

終末期の方への自費リハという選択

こんにちは、終末期作業療法士の藤田です。

 

常日頃、緩和ケア病棟の患者様と関わっていますが、勿論自宅退院される方もおられます。

その中で言われた言葉

「退院してからどうしよう、リハビリもないし、訪問リハは週1回、初対面の人だったりするのも心配だ」

 

そして言われた言葉

「藤田さん、うちには来てくれないの?」

 

先日の意見交換会でも同様のエピソードを耳にしました。

その言葉に対して私は契約の問題をやんわりと盾にしながら「できない」と答えていました。

退院し、最期の時間を家で過ごす。

その生活の中にリハビリを加えたいという患者様の医療選択の自由をこちらの都合で潰してしまってよいのだろうか?

 

終末期医療の分野に携わり10年、色々な方に出会い、色々な方の遺志や生き方を託されている者として

これから最期を迎える方が最期まで生きる権利と死ぬ権利を保障されていく社会を作る為に、動いていく必要があると思いました。

 

患者様が、最期の時間を自分が選択した方法で迎えるため、医療者の都合でリハビリの有無を決めないために

 

自費での終末期患者様のための訪問サポートを行うことにしました。

 

とはいっても、私の仕事がない水曜日限定になりますし、自費である以上病院での診察以上にお値段はかかります。

勿論法律的には合法ではありますが、自費診療を行う際は病院の所属ではなくなるため、様々な障害があることも理解はしています。

藤田の今の仕事は非常勤であり、その分身軽に色々なことができると考え、このような結論になりました。

 

突飛なことを言っているのかもしれませんし、批判的なご意見もあるかもしれません(現に終末期リハ自体に対しても否定的なご意見を言われることもあります)

 

しかし、「藤田さんに見てもらいたい、専属契約はできないのか?」と希望されながら、私の都合であきらめなければならず、亡くなられた方が何人もいる現状も事実です。

 

先日ふと思い始めたばかりなので、具体的なことは今後詰めなければなりません、HPは現在作成中ですので追ってこちらで報告します。

 

 終末期リハビリテーション講習会情報はこちら

kanwakea-fujita.hatenablog.com

 

 

意見交換会を行いました

こんにちは、終末期作業療法士の藤田です。

 
先日浦和の某喫茶店にて終末期リハビリテーションについての意見交換会をおこないました。
 
意見交換会といってもそんな大それたものではなくて
コーヒー一杯で三時間ほど居座り、日々の業務の現状や感じることを話し合いました。
 
半分くらいは私の愚痴を聞いていただく形だったような気がします(本当にすいません)
 
やはり話題になるのは「医療職のエゴで患者様の人生を捻じ曲げているのではないか?」と言うことと「個人と医療者、患者様が求めるものは個人のWeitが大きいのではないか?」。
その他管理者としての意見や、私のような非常勤がどのように立ち回っていくか、そして今後の終末期リハの発展に向けてどういった可能性の模索ができるのか?
 
などなど、活発な意見交換ができたと思います。
 
こういった意見交換会は今後も積極的に行っていきたいと思います。
 
とはいえ堅苦しいものではなくてお茶でも飲みながらゆるゆると
 
日々の業務の疑問や悩み、考えたことなどを共有するだけでも価値はあるのではないかなぁと思いました。
 
直接ではなくても最近はスカイプのような便利なものもあるわけですし、勿論facebookでのやり取りなんかも良いと思います。
 
終末期リハビリの分野はまだまだ発展途上であるので、自分のやったことが保証(効果があったかどうか判断するのは患者様なので完璧なものではありませんが)されることは、バーンアウトを減らす一助にもなるのかも知れません。
 
ご興味のある方、是非ご連絡ください。
 
藤田
 

 終末期リハビリテーション講習会情報はこちら

kanwakea-fujita.hatenablog.com

 

 

 
 
 

終末期におけるリハビリテーション⑤ 生活意欲の向上

こんにちは、終末期・緩和ケア作業療法士の藤田です。

 

 

諸事情ありまして、前回更新からだいぶ期間が空いてしました。facebookのほうでは時々つぶやいていますので、そちらもご参照ください。

今回は前回の続きになる

「生活意欲の向上」になります。

前回の記事はこちら

kanwakea-fujita.hatenablog.com

 

生活意欲の向上とは?

 生活意欲の向上というと、何となくイメージが湧く人も多いとおもいます。

平ったくいうと「やる気が出てもう一度活動をはじめる」なのですが、終末期の分野において「復権」の意味合いがより強まります。

生きる・死ぬ権利を取り戻す重要な事柄

何度も書いておりますが、リハビリテーションの本質とは、「治すこと・よくすること」ではなく「人としての権利を取り戻すこと」です。

終末期リハビリにおいての生活意欲の向上とは、「ふたたび人として生きる権利・死ぬ権利を取り戻すための重要な事柄」であるとも考えられます。

 

リハビリでできること

生活意欲を向上させるためにリハビリでできることは様々です。

①歩行練習 ADL訓練を用いたアプローチ

 恐らく最もリハビリが得意とするものでしょうか、患者様のHOPEになりやすい部分へアプローチし、歩けること、トイレに行けることができる、もしくはできる見通しが立つことで、これからの自分の生き方に向き合う「生活意欲が向上する」につながります。

 

②対話を用いてのアプローチ

残念ながら現在の医療では入院することで人は弱者とみなされる構造になることが非常に多いです。

高齢の入院患者様に対してまるで赤ちゃん言葉のような話し方をしたことはありませんか?

「入院したら子供扱いされた、私に人権はないのか?」実際に患者様から言われた言葉です。

リハビリは治療構造上一対一になることが非常に多いです。だからこそ対話という者には十分に配慮しなければなりません。その為には以前書いたようにTh個人の自己分析も必要になります。

患者様が心情を言語化し、今後の生活への見通しにつなげることは復権のための最重要項目です。

対話についての記事も今後作成予定です。

 

③他者とのコミュニケーションツールとして

②と近い部分ではありますが、入院生活のなかでリハビリというのは数少ないイベントになります。

言い方は変ですが映画を見に行く、遊びに行くと構造が近いと感じる患者様もおられます。

「リハビリで〇〇なことがあった、リハビリの人が✖️✖️なことを言っていた」と言った他者との会話ツールとして機能することで

ご本人やご家族から「入院して何もできなくなった」のイメージを払うことも出来ます。

以前患者様に言われた言葉

「緩和病棟に来たらもう終わりだと思った、でもリハビリが始まって、その事で看護婦さんや先生がいっぱい話してくれて、家に帰ってみようかなと思えるようになりました」

もちろん全てがリハビリのおかげではありませんが、そういった側面を持つということは頭に入れて降りても良いかもしれません。

 

又、予後が日単位になった患者様の場合にはご家族へリハビリの様子を伝え、共有することは、グリーフケアの一助にもなります。 

注意すべきこと

生活意欲が向上することは医療者としてもとてもやりがいを感じる部分になりえます。「自分が、リハビリが入ったことで患者様が良くなった」そう思われることもあるかもしれません、もちろんそれはすばらしいことです。

しかし注意しなければならないのは例によって

「医療者の自己満足が目標ではない」ということです。

時々聞きます「治すことが楽しい」それは患者様のためなのか?それとも自分の為なのか?

意欲を向上させることを医療者のエゴで強要させないよう注意しなければなりません

 

まとめ

今回は生活意欲の向上についてまとめました。

・ 生活意欲の向上は患者様が人として生きる権利、死ねる権利の復権をするにあたって重要な事柄である。

・ リハビリテーションアプローチによって「何もできなくなった」を「これができた」に変換する。

・ アプローチの方法は様々であり、Thとして、人としてそれぞれの特性が生かされる。

・ 意欲の向上を目的とする場合、医療者のエゴで進めてしまわないように十分注意する。

 

こういった部分でしょうか。

前回の生活範囲の拡大・今回の意欲の向上、どちらも患者様の「復権」のために重要な事柄ではありますが、同時に医療者のエゴや差別感が見え隠れするものでもあります。

 

そういった自分の感情に押し潰されないためにも、自身の人間性を読み解くことが最終的には患者様のよりよい生活の繋がるのではないかと思います。

 

藤田

 

 終末期リハビリテーション講習会情報はこちら

kanwakea-fujita.hatenablog.com

 

 

 

終末期におけるリハビリテーション④~生活範囲の拡大~

こんにちは、終末期・緩和ケア作業療法士の藤田です。

 

おそくなりましたが新年あけましておめでとうございます。

年末年始、私自身も非常に忙しいかったです。患者様はもっと忙しく、人生をかけて生活をされています。

医療職として無闇に「がんばります」とは言いませんが、自分と向き合いながらやっていきたいと思います。

 

終末期におけるリハビリテーション、今回は

生活範囲の拡大

について。

 とはいえ過去の3記事で終末期・緩和リハの根幹はほぼ書いてしまっているので重複する箇所が多いと思いますが、よろしくお願いします。 

過去記事はコチラから↓

kanwakea-fujita.hatenablog.com 

kanwakea-fujita.hatenablog.com 

kanwakea-fujita.hatenablog.com

 

ベッドから部屋の外へ

生活範囲の拡大というのは簡単に言うと「行動の場所が広がる」ということです。

緩和ケア病棟に限らず、患者様が外の世界を感じる機会はどれくらいあるでしょうか?病院に入院するということは自宅にいた時に比べて確実に寝ている時間が増えます。

リハビリの役割はベッドから部屋の外へ、部屋の外からリハビリ室へ、そして外出・外泊へとつなげることも含まれます。

 

離床との違い

「離床」自体は本来の意味としては同義になりますが、医療業界では「離床させる」と表現されるように、医療者から患者様への行為というイメージが強いです。

生活範囲の拡大とは、患者様の選択のもとに行われることであり、患者様の主体が入ります、「活動」に近い部分があります。(言葉として適切かどうかは不明です。良い案がありましたら是非教えてください)

 

生活範囲の拡大を進める際の落とし穴

上記同様「ご本人の選択がないものは拡大とは言えません」何も言わずにとりあえず車いすに乗せるのではなく「何故提案したのか?」「どういった効果があるのか?」そして「拒否ができることの保証」をきちんと提示する必要があります。そして患者様の恐怖や抵抗を肯定し「どれだけ楽に活動するか」を意識する必要があります。

とりあえず載せて喜ぶのは患者様ではなくて人をコントロールできたことがうれしい医療者です。(勿論載せることができてうれしいですと共有することも一つのコミュニケーション方法ではありますが、Thの感情を患者様に転移させないように注意が必要です。)

 

何故提案したのか、効果も含め伝える

理由は様々ですが共通することは必ず「患者様の立場を踏まえた上での提案」であることです。

例としては

・リハビリをする場所を紹介したい→相互理解、関係性の構築

・ご自身の状況を知る為のバロメーターになります。→自己分析の促し

・どれくらい座っていられるか確認しましょう→身体機能の再認識

・外の風に当たることで痛みがまぎれるかもしれません→疼痛コントロール(ゲートコントロールに近い)

等々・・・あくまでテンプレートな提案ではなく、初回評価、面接で得た患者様の様子やHOPE、キャラクターなどから判断し、声掛けを行っていく必要があります。

 

拒否ができることを保証する

同時に拒否ができることを保証することも重要になります。

特に初めての場合、どういったことから患者様が抵抗を感じるのかわかりません、そして関係性の構築がなされていないとなると「本当は嫌だけどいわれるがままに、目的もなく離床した」事になります。

くどいようですがそれで喜ぶのは医療者だけです。
具体的に「離床に抵抗感を示される理由」をいくつか伝えることで、患者様が「断り易い」環境をつくることの一助になります

・ 外に出るということは当然個室より人が多いので「他人の眼に抵抗を感じる人がいる」

・ 歩行器を使うことについて「道具を使ってしまった自分に抵抗を示される方もいる」

・ 転ぶんじゃないか痛みが強まるんじゃないかと「恐怖を感じる方もいる」

等々・・・

 

患者様は多くの人に「頑張れ」「外に出たほうがいい」と言われております。

それが大切なことだというのはご本人が一番分かっている事です。

それでも抵抗を示されるということは上記等、何かしらの理由があり、できないこと、理解されないことが負担になっている方も少なくありません。

その感情を否定するのではなく、肯定しその上でどうしていくかを一緒に考えることが、生活範囲の拡大につながります。

 

どれだけ楽をして部屋から出るかを意識する。

生活範囲の拡大を行うことでまず心がけるべきは「如何に楽して部屋から出るか」が重要になります。

道具で言えばチルトリクライニング車椅子のように「ベッドとほぼ同じ角度にできる」車いすであったり、いきなり杖ではなくてサークル歩行器を使う。

部屋の外の廊下の至るところにいすを置き、オーバーなくらい休憩時間を作る。

歩く時間よりも座る時間、会話作業の時間を多くする。等があります。

「思っていたより簡単だった。」という言葉をいただければある意味成功と捉えても良いのかもしれません。

逆に「初めてなので緊張するから恐らく大変だと思います」と事前に患者様に声をかけるのも良いと思います。

そうすることで精神的余裕が生まれ「意外とできた」と感じていただくことも増えます。

終末期リハビリテーションで重要な事柄として「即効性」というものがありますが、生活範囲の拡大のための介入は即効性に結びつきやすい印象があるため、上記方法などを使用しながら優先的に行っています。 

 まとめ

今回は生活範囲の拡大について記事にしました。

  • ベッドから部屋の外へ、そして外出・外泊へとつなげる。

  • 患者様の選択のもとに行われることであり、患者様の主体で行われる。

  • とりあえず載せて喜ばせるのではなく、患者様の立場を踏まえる。

  • 現状に対する恐怖について肯定し拒否する選択も保証する

  • 頑張るのではなく、どれだけ楽に問題点をクリアするかを意識する

 

生活範囲を拡大することはそれはそのまま生活意欲の向上につながります。
向上することで、残りの時間に自分はどうあるべきか?

と考える余裕が生まれることがあり、それはHOPEとして表出されたり、患者様自身の行動となって現れます。

HOPEが生まれれば、リハビリも進めやすくなりますし、プログラムも立てやすくなると思います。

 

次回はそのあたりについて記事にしたいと思います。

 

 終末期リハビリテーション講習会情報はこちら

kanwakea-fujita.hatenablog.com