終末期医療の分野における理学療法士(PT)の役割とは~PTは心の評価ができない?役割は何?~
こんにちは、終末期作業療法士の藤田です。
次回講習会は6月25日 お会いできるのを楽しみにしております。
kanwakea-fujita.hatenablog.com
作業療法士(以下OT)として終末期の分野でリハビリをして10年になりますが、同志にもたくさん出会いました。
それはOTに限らず、理学療法士(以下PT)の方も多くいらっしゃり、私の講習会にもPTの方も多くいらっしゃいます。
終末期医療におけるPTとOTの違い、時々考えます。
現状PTとOTの仕事の境界が良くも悪くもあいまいな部分は多いですし、先日の講習会では
「OTはPTの下位互換とみなされることがあるのではないか?」というリアルなご意見もうかがいました。
これは何となく実感のある方もいらっしゃるかもしれませんね。
そしてよく聞かれる言葉として
「終末期は心の分野・心はOTの分野・PTは分野じゃない・終末期分野はOTの仕事」
と言うものもあります。果たしてそうなのでしょうか?
【終末期分野で患者様が望むものは「心ではなく運動」の要素が強い】
先日とある患者様が逝去されました。
その方に私がしたことは何かと言うと「歩くこと、立つこと」でした。
「これができなくなったら死ぬかな」
とその方は仰っておりました。
事実できなくなった直後に亡くなられました。
さて心を見るOT、その方の心をどのように評価したのか?
私が思ったのは要約すると「あぁすごく頑張っているなぁ」だけでした。
それを何となくかっこいい言葉でカルテに書いただけです。
この評価…PTにできないことなのでしょうか?
私はPTではないので、心理評価をどのようにとらえているのかわかりません。
この辺については意見交換したいところですね。
もしかしてすごく難しいものと思われているのかなとも思いました。
話を戻すと、終末期医療においても患者様の希望の大半は「動きたい」です。そこに「運動することによる個人の尊厳・自己コントロール」
が伴うのですが、これらは回復期だろうが急性期だろうが同じことですよね。
【PTは達成感のプロ】
PTは日々の臨床においてOT以上に「歩けてうれしい、頑張ってよかった」と言われることが多いと思います。
PTが終末期分野においてOTより長けている部分ははそこです。
要するにPTは知らず知らずのうちに患者様の達成感へのアプローチのプロなわけです。
以前講習会で「達成感が患者様の自己肯定・自己実現につながる可能性がある」とお話をさせていただきました。
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これはOTが目標とするものと同じです。つまりやることが違うだけでOTとPTの職業での差はないということになります。
勿論OTでもできます。ですが、PTは患者様が最も希望する運動のプロなわけですからその差は雲泥のものでしょう。
(※ これはOTが劣っているという話ではなく、終末期医療においてPTの得意分野が合致している部分も多くあるというお話です。)
PTの苦手とされる「心の評価」
誤解を恐れず言えば
「歩くことができた、もしくは歩けなくても一生懸命頑張っていることで生じた患者様の気持ち」が患者様の心の評価と言えるのではないでしょうか?
そう思えば、普段やっていて、感じたものがそのまま患者様の心の評価になるのではないでしょうか?
少なくとも「自分が患者様を治した」ではなく「患者様が良くなってくれてうれしい」と思える医療者であれば、だれでもできることなのだと思います。
まとめ:
OTの専門分野とみなされがちな終末期分野ですが
患者様が求めるものは「運動」の側面も強い。そしてPTは運動のプロ。
プロの目線で患者様を評価、治療し、そこで生じる患者様の変化を感じ共有することが心の評価である。
そこで得られる達成感が終末期における患者様の自己実現・自己肯定につながる可能性がある。
それがPTの役割。
これは終末期に限らずどの分野にも共通しますね。
この辺は書き始めるときりがないので、とりあえずこれくらいにしております。
私自身終末期医療におけるPTの役割は明確に持っているので、是非実際に現場で悩まれている方とお話ができればと思っております。
次回講習会は6月25日になります。皆様と終末期医療の分野について意見交換できることを楽しみにしております。
詳細は下記リンクにて。
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藤田