終末期・緩和ケアを専門とする作業療法士のブログ~死について、もっと前へ…~

終末期・緩和ケア分野で働いている作業療法士の藤田と申します。日々の臨床で感じること、思ったこと今までの経験などを書き記していきたいと思います。終末期リハビリはまだまだ始まったばかりの分野です、意見交換できれば幸いです。

最期まで父親としての姿を見せる

こんにちは、終末期作業療法士の藤田です。

 
 
終末期リハ、そして私の行っている自費リハビリテーション事業「ターミナルサポートケア」でできること。
 
 

2,息子に最後の父親としての姿を見せる

 
末期癌のBさんは体を動かすこともままならず、動くことでの痛みや強い疲労感もありました。
 
せめてトイレには行けないか?とリハビリの依頼が来ました。
 
Bさんは言いました「家族に迷惑をかけてしまうことが辛い」
 
そして
 
「家族に動けなくなったことを見られるのが辛い」
 
所謂高度成長期にバリバリ働き、日本を支えたBさん
 
威厳のある父親を理想としていたBさんにとって、他人の力を借りること弱さを見せることは耐え難い苦痛でした。
 
「できるだけ自分の力でできる様にしてみましょう」
 
ポータブルトイレを設置し、移る練習をリハビリで行い、何とか看護師さんやご家族の介助でトイレにいけることができました。
 
「できれば自分でやりたいけど」とBさんは話されており、必ずしも全ての願いがかなったわけではありませんでしたが
 
リハビリに私が伺うとにこやかな顔で出迎えていただきました。
 
リハビリの方はその後マッサージと移る練習を交互に行い、休む時間を取りながら行いました。
 
病状は進みます
 
トイレに移ることも厳しくなり、立つこともままならなくなったBさん
ある日お部屋に伺うとそこに息子さんとその婚約者の方がいらっしゃいました、
 
「Bさん、今日のリハビリどうします?」
 
「先生は大変かもしれませんが、立ちたいです、手伝ってください」
 
 
ベッドから降り、立つ練習を希望されました。
実際に立った様子は私が体重を9割は支えたと思います。
 
時間は1〜2分くらいでしょうか。
 
座った後、Bさんは息子さんと婚約者さんに向かって、「幸せになるんだよ」と優しい言葉をかけられていました。
 
 
その2日後、Bさんは逝去されました。
 
何を思って立つ練習を希望されたのかは、Bさんしかわかりません。
もしかすると「父親としての威厳」を取り戻すことができたのかもしれません。
 
終末期リハ・ターミナルサポートケアでは病気を治すことはできません。
 
しかし「自分の理想の父親像を」を取り戻すお手伝いする事もできるかもしれません。
 
ご興味のある方は是非ご連絡ください
 
 
最期まで、自分で選択できる人生を
 
藤田
 

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