一般病棟での終末期患者様への介入。
こんにちは、終末期作業療法士の藤田です。
先日、珍しく一般病棟の患者様を受け持つことがありました。
とはいえ、余命は短い月単位、脊椎転移が急激に進行し、不完全ながらも立位はほぼ不可能となった対麻痺の患者様です。
病状説明もまだされておらず、患者様は急激な変化に戸惑われており
「今後の自分がどうなるのか?」「家に帰れないのか?」「家族に迷惑がかかる」
そういったことを話されていました。
同時に現状が分からないことへの不安から「今後どうなるのかはっきりと伝えて欲しい」と私へも話されました。
Drからの情報がない状態であったためややはぐらかしたような表現をする私に対しても怒りを向けられました。
終末期リハビリはまず
「目に見えて終末を考えなければならなくなるエピソードによる急激な心理・スピリチュアルペインの出現」
からスタートになると考えております。私個人としては「急性期・ショック期」と表現しております。
緩和ケア病棟の場合、それらがある程度落ち着いた場面からのスタートになりますが、一般病棟での介入の場合「昨日から動けなくなった、早く帰らないと・・・治らないと・・・」からスタートする事が多いです。
リハビリの目線から言えば今回のケースであれば「足が動かない」→「移動できない」→「車いす以上の練習をしましょう」といった流れになりますが
この「ショック期」の方に対して安易に「車いすに乗りましょう!」と声をかけることがどれだけ責任がかかるか・・・?
終末期に携わる人間は考えねばなりません。
終末期医療で必要なことは患者様ご自身が現状を認識し、そのうえでどういったリハビリ、医療行為を求めるのか?ということです。
この「ショック期」の方の場合まず行わなければならないことは「自身がどうなってしまったのか?」の不安・疼痛を緩和することです。
(勿論そのためにはPCT介入・服薬による疼痛管理がなされた上での話になります。)
その方法としては
① Drから現状についてのICを行う
② Rhで自身の「できること・できないことに向き合っていただく」
③ 補助具の導入をする際に「あくまで通過点」とした上で使用して頂き、その有用性を実感→病状認識を促す
大まかに分けると藤田はこのような方法で患者様と向き合います。
今回の症例の場合、「どうなってしまったのか?」を知りたいと強く感じておられました。その為Drへ相談し、今後のことについてまずご本人にICをしていただき、その後にOTの見解を伝えることとなりました。
患者様は「自分がどうなっているか分かった、それでも家に帰りたい、家族に迷惑をかけたくない奇跡的に治ることを期待してリハビリを頑張りたいし、ダメだった場合のための車いすの乗り移りも練習したい」
と話されました。
以前の医療では病状は本人に伝えてはいけないという風習がありました、今でも「ショックを与えるからいけない」と本人は抜きにしたICで家族にのみ伝えられることもあります。
その考えも悪いとは思いませんが、今回の症例の場合、「自身に情報がない」ことに心理・スピリチュアルペインが増強していると同時に、伝えたことで自身の残りの人生に見通しが立ちました(これは私の主観なので真実はご本人のみぞ知るですが…)
その方が私に言った言葉
「お願いだから、腹を割って話してほしい、できること、できないこと、何がしたいのか言ってほしい。先生を信頼したい、嫌なことはこっちからも言うそう言った関係を作ってほしいんです」
所謂「患者ー治療者関係」を見直す良い機会になり、大変勉強になりました。
良かれと思って都合のいい言葉を選び、上下関係を作り、生殺与奪をコントロールし、患者様の疼痛を増強させていませんか?
もう一度患者様とのかかわり方を見返すチャンスかもしれません。
藤田
終末期リハビリテーション講習会情報はこちら↓
kanwakea-fujita.hatenablog.com