終末期・緩和ケアを専門とする作業療法士のブログ~死について、もっと前へ…~

終末期・緩和ケア分野で働いている作業療法士の藤田と申します。日々の臨床で感じること、思ったこと今までの経験などを書き記していきたいと思います。終末期リハビリはまだまだ始まったばかりの分野です、意見交換できれば幸いです。

ご本人のHOPEとはなにか?

こんにちは、終末期作業療法士の藤田です

 

先日、Rh介入をしているときにこんなことがありました。

 

予後が日単位となった患者様(半覚醒状態ではありますがY/Nは可能)にマッサージ介入をしていたところ、スタッフが病室に来室、その時の言葉

 

「藤田さん、電気つけますか?」

 

照明はついておらず、薄暗い部屋でした、私自身、部屋の薄暗さに気づいてはいましたがそのままRh介入をしていました。

 

 

この言葉に対して皆様はどう感じられたでしょうか?

 

とある方から「病棟スタッフと良い関係が築けていますね、うらやましい」とも言われました。

 

私自身もそういった気遣いをいただいけて、とてもうれしかったです。

 

 

・・・これでこの記事を終わらせてしまうと、終末期医療・緩和ケア・ひいては医療職として大変よろしくない。

 

それはこの一連の流れの中に「患者様のHOPEが入っていない」ということです。

 

まず私の目線で言えば薄暗い部屋になっている予後日単位の患者様に対して

 

部屋の環境の評価をしておきながら「環境の調整について患者様自身に問わなかった」ことが問題です。

 

そしてスタッフが「患者様」ではなく「医療職」に照明の有無を聞いている所にも注目して頂きたいです。

 

やはり患者様の部屋であるにもかかわらず話の中に入っていない。

 

 

実際その声掛けの後ふと我に返った藤田はご本人に聞きました。すると「NO」の返答。

 

危うく「医療者目線での良いこと」を患者様に敷いてしまうところでした(後程そのスタッフ様と反省をしました。)

 

終末期医療・緩和ケアの中でリハビリテーションを行う場合、患者様の個人の意思をより優先する(当然ほかの分野もですが)

患者様のHOPEを引き出す必要があるといわれていますが

それと同時に

 

入院することで人間関係に上下が生まれる

 

こういった話をよく聞きます。特に病状が重くなるにつてご自身ができることは減ってきます。

そうなるとこちらが患者様をコントロールしやすくなりますので

その分非常に悪い言い方をすると「患者様が物に近い感覚になる」のではないでしょうか?

 

「そんなことはない」と思われる方もいらっしゃると思いますし、私自身もそうしたくない部分ではありますが

 

今回のケースのように照明の有無一つ一つをつい本人のHOPEではなく医療者のエゴで「良いことをしている」と錯覚してはいないでしょうか?

 

「患者様のHOPEを引き出す」我々終末期医療に携わる人間はみなそう言っておりますが。 

もう一度「良かれと思ってしている事は、患者様ではなく自分のHOPEなのではないのか?」と考えてみるのも

 

よりよい医療の提供に結びつくのではないでしょうか?

 

 

死について、もっと前へ

 

藤田

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